Arashiology

大野担の嵐オタクによる嵐論

第五章

No one can be his buddy, except me あの人いじっていいのは俺だけ

 

大宮コンビについて考えてみよう。

同じようなサイズ感で、無意識に身体が触れていることも、ボディタッチも多い二人。テレビの収録中だというのにこそこそ話したり、ニノが子供みたいなちょっかいをかけて、大野くんが何すんだよ、やめろよ~と押しやったりする光景は、嵐ファンにはおなじみで、「大宮のわちゃわちゃ」として尊ばれている。

 

二人に共通するところは、仕事に対する真剣さをあえて見せないスタンスと器用さ。二人とも寝癖をつけたまま寝間着同然の格好で仕事現場に来るし、台本を読む姿はメンバーにもあまり見せないし、曲の振り付けはさくさく覚えて、仕事が終わればとっとと帰る。明日○時に迎えに来ますから、とマネージャーに言われても、直後に忘れる。

 

しかし、セリフや振り付けはちゃんと頭に入っていて、誰も文句を言えない結果を出してくる。実際に彼らが器用だからできる部分もあるだろうが、大野くんの場合は、練習の過程を誰かに見せることに意味を感じない、結果だけ見せればいいという彼の美学によるもので、彼はやる気がないわけでもないし、真剣でないわけでもないし、まして努力していないわけではない。ずいぶん若い頃からそのスタンスは変わっていないらしく、かつて、「大ちゃんと二人で受験勉強したら?」というお題に対して、翔くんは「あの人、あんまり人を頼るの好きじゃないよね。やればできるコだから」、ニノは「お互い勝手にやるだろう。リーダーもひとり黙々とやるタイプだからな」と語っている。昔から彼は、自分に与えられたタスクは自分自身でクリアし、求められる部分だけをアウトプットしたいタイプだったのだろう。

 

ニノの場合は、大野くんのそういう影響を受けているような気もするし、本当にさしたる努力もなしにできてしまうような気もする。大野担の目から見ても、彼は大野くん以上に器用なタイプで、例えるなら、助走なしの高跳びみたいなえげつないことがさらっとできてしまったりする。これはあくまで私の個人的な印象だが、彼は仕事に真剣になる(姿を見せる)なんてダサいと思っているし、もっと言えば、「世間の奴らはなんでこの程度のことで感心するんだ、バカなのか」、とすら思っているように見える。そんな風に、世の中を醒めた目で眺め、斜に構えているニノが、嵐のメンバーにだけは真正面から向き合うことが、オタクにとっては「エモい」のだ。

 

しかし、いかにニノがシニカルなキャラであろうとも、彼が真剣に仕事をしていることは間違いない。それは、彼自身の仕事を自分の愛して止まない嵐に還元するためでもあるし、彼自身がハワイで語ったように、彼の仕事の根底に、「目の前にあることを頑張れないやつが、何を頑張れるんだ」という大野くんの至言があるからだろう。だから、どんなばかばかしい内容であっても、彼は目の前にある仕事を一生懸命やるし、こと嵐に関しては、どこまでも真剣で熱い。

 

近年、ニノは雑誌のインタビューをトリッキーな回答ではぐらかし、なかなか本音を語ってくれなくなったように思うが、それでも以前は素直な気持ちを語ってくれていた。私は、ニノのインタビューで、「芝居、歌、踊り、リーダーが一番いろんなものを持っていると思っている」と語るのを見たことがあるし、「自分がかなわないと思うのはリーダーと相葉くん」、「俺はリーダーの芝居仕事が大好きだから、もっとやってほしい」、「リーダーみたいな人は、芸能界にはいない」(ニュアンス)というのも読んだことがある。彼がたまに聞かせてくれるこういうコメントから、彼が大野くんをリスペクトし、信頼していることは充分に伝わってくる。

 

リアクションがワンテンポずれる大野くんに対して、「衛星回線」だの、「Windows95」だのとキレキレのコメントをぶち込もうが、噛んだ瞬間に「はい終了~」と話をぶった切ろうが、お料理のコメントを求められた大野くんに「どうせあの人、濃厚しか言わない」とツッコもうが、ニノは自分のできないことでも大野くんならできることを知っているし、大野くんがここぞというときには必ず結果を出してくることもよく知っている。ニノは大野くんのメンタリストだし、大野くんの歌声が好きだし、お芝居が好きだ。ニノのツッコミの根底には常にリスペクトと愛情がある。

 

誰よりも大野くんのことを知っている自負があるからこそ、彼は大野くんのことを(自分ほど)よく知らない他人に、大野くんをいじられたり褒められたりすると、ちょっと面白くないのかもしれない。そんなニノの表情をオタクは見逃さず、「嫉妬宮」と呼ぶ。「VS嵐」の映画 怪物くんチームの回で、大野くんがゲストチームを背負ったときは、いつもより一枚本気が乗った大野くんに、「大野さん結局、1人のときとかイキイキして(何でも)できちゃうからな~」と、思わず本気の拗ねコメントが飛び出した。オタクはこれに大喜びし、「拗ね宮」発動だと盛り上がったものだが、おそらくニノはそんな自分を自覚していないだろうし、大野くんは気付いてもいないだろう。これは我々オタクの密かな楽しみである。

 

結論、大宮コンビの関係性は萌え要素満載である。

2019/3/17