Arashiology

大野担の嵐オタクによる嵐論

第七章

The world filled with love and peace 優しい世界

 

嵐の天然コンビこと、大野智相葉雅紀

 

彼らについて考える時、私の頭にはあるイメージが浮かぶ。

アニメ「妖怪ウォッチ」の人気キャラクター、コマさんとコマじろうの兄弟だ。コマさんは、神社の狛犬をベースとしたキュートなルックスで、同アニメでもトップクラスの人気を誇る。素朴で優しく、控えめな性格で、田舎から出てきたという設定であるため、都会の様々な事象に「もんげー!」と素直に驚く。ロボット掃除機ともお友達になっちゃう。そんなコマさんの色違い(笑)の弟がコマじろうで、兄ちゃんを追いかけて都会に出てきた後、早々に都会に馴染み、DJKJと名乗ってクラブに出入りしていたこともある。

 

コマさんは何事にも素直に反応する(そしてたいていミラクルが起きる)ので、コマじろうはちょっと心配そうに見守り、時にはやんわりとツッコミを入れるのだが、そんな兄弟の会話は常にほのぼの、ふわふわしている。その空気感が、まさに大野くんと相葉ちゃんの空気感と重なるのである。

 

相葉ちゃんは嵐のなかでは年齢的に中間で、トークを仕切ったりするタイプでもなく、話を振られてしゃべる、どちらかと言うと大野くんに近い立ち位置なので、大野くんと二人でいると、どちらが会話をリードするでもなく、ツッコむでもなく、浴衣姿でやる旅館のピンポンみたいな感じになる。天然コンビ推しのファンは、まずその優しいテンポに癒されるのだ。ただ、このコンビだと、相葉ちゃんからほんのりお兄ちゃんオーラが出る。これは、相葉ちゃんに弟がいて、実生活でもお兄ちゃんだからだろう。私のコマさん兄弟のイメージでも、素直だけど毎度の事件を丸く収めるコマさんが大野くん、優しいけどしっかりした弟が相葉ちゃんだ。

 

この二人に共通するのは、素直さだと思う。アイドルならごまかしたり、隠したりして自分を守るだろうという場面で、彼らはそれをしない。彼らは何に対してもまっすぐだし、嘘がつけない。嘘を言わなくてはならない場面では、ただ困った顔で沈黙するだろう。だから彼らは「ババ嵐」の最弱王なのだ。魑魅魍魎が跋扈する芸能界にあって、こんなに素直な二人が今まで無事にやってこられたことに、オタクは感謝しかない。誰もが人気者にすり寄る一方で、裏では転べばいいと思っているような業界を渡ってこられたのは、他のメンバーの存在と、彼ら自身の賢さが盾となって身を守ったからだろう。ただ素直でバカだったら今の嵐はない。

 

普段の言動から、二人は天然コンビなどと呼ばれているが、私は相葉ちゃんの本質は天然ではないと思うし、まして、大野くんを天然だと思ったことはない。二人は知らないこと、思ったことを素直に口に出すだけだ。相葉ちゃんのパブリックイメージは、明るいイジられキャラだが、実はフィジカルもメンタルもデリケートである。彼は気配りもできるし、空気も読めるし、特に人間関係では細かいことが気になる繊細なタイプで、周囲の人間を喜ばせたいがために、自分の限界を考えずに倒れるまで頑張ってしまうところがあると思う。若かりし頃、企画のためにサックスを練習しすぎて肺気胸を発症したというエピソードもそれを裏付けている。

 

大野くんはそんな相葉ちゃんの素顔を知っているから、彼が二度目の肺気胸で入院している間、毎日何気ないメールを送り続けたのだと思う。入院中、仕事に穴を開けてしまったことが相葉ちゃんの頭をぐるぐる巡り、休むに休めないでいることが、おそらく大野くんには想像できたのだろう。他にも、嵐スイーツ部の部長と副部長を自任している二人だが、ある時、相葉ちゃんが大野部長から退部を言い渡されたことがコンサートのMCで明かされた。その経緯はこうだ。コンサート前、恒例のスイーツをあまり食べていない相葉ちゃんに、部長がそのことを指摘した。相葉ちゃんが、部長の機嫌を取ろうとホールケーキを丸ごと食べようとしたところ、部長が「ちょっと、君退部だ」。私自身が会場でMCを聞いたわけではないので、正確なところは分からないが、大野くんは、あまりスイーツを食べる気分ではなかった相葉ちゃんが、無理をしているのが分かったから退部宣告したのだろうと想像した。

 

このように、最近の天然コンビのエピソードでは、「相葉ちゃん、無理しないでね」という大野くんの気遣いを感じることがある。脱力系アイドルと呼ばれる大野くんから見ると、元気印の相葉ちゃんは頑張りすぎているように映るのかもしれない。今、嵐メンバーのなかではダントツの忙しさを誇る相葉ちゃんだが、120%の笑顔で仕事をしている彼が素に戻った時の落差が時々頭をよぎり、私もちょっと心配になる。

 

大野くんと他のメンバーとの関係性を考えるとき、ニノにしても、翔くんにしても、松潤にしても、大野くんに対するリスペクトというものを必ず感じる。しかし、相葉ちゃんに限っては、あまり大野くんへのリスペクトは感じない。それらしい発言も聞いたことがない。なぜだろうとずっと考えていたのだが、天然コンビ推しのファンがツイッターで、「二人は同じ世界の住人」(ニュアンス)とつぶやいているのを見て、妙に納得した。確かに、目の前にあるものにまっすぐに向き合う二人は、素直で優しい世界に生きている。そんな二人が同じグループにいることが、嵐というグループの雰囲気を醸成するうえで大きな役割を果たしていることは間違いない。

 

ただ、大野くんが相葉ちゃんのことを直感的かつ本質的にとらえているのに対して、相葉ちゃんは大野くんを比較や評価の対象ではなく、同じ種類の人間ととらえているのかもしれない。優しい妖精の住む国では、たとえ空を飛べても、魔法を使えても、それは妖精の個性に過ぎない。どんな個性を持っていようとも、そこの住人にとって、妖精が妖精であることは当たり前で、リスペクトの対象ではないということだろう。

 

私は彼らを「妖精」と例えたが、別に仏でも仙人でも何でもいい。私には、「同じ世界」=「妖精の国」だったので、くだんのツイートを見たとき妙に納得してしまったのである。それにしても、コマさん兄弟といい、妖精といい、私のなかの天然くんのイメージって…。

 

結論、天然コンビは尊い

2019/3/28